伊勢へ詣らば 元伊勢詣れ 元伊勢お伊勢の故郷じゃ 伊勢の神風海山越えて 天橋立吹き渡る
京都府・宮津の地には、古くからこんな民謡が歌い継がれています。
ここで言う「伊勢」とは、もちろんあの三重県にある一生に一度は訪れたい「伊勢神宮」のこと。
ですが、歌の最初に出てくる「元伊勢(もといせ)」とは、一体なんのことなのでしょうか?
「伊勢神宮のふるさと」と呼ばれる場所が、実は京都にある……。そんな歴史ロマンあふれる噂がずっと気になっていました。
その「元伊勢」の正体こそが、こちらの籠(この)神社。
正式名称を「元伊勢籠神社(もといせこのじんじゃ)」といいます。
場所は京都府宮津市字大垣430。
目の前には日本三景として名高い「天橋立」が広がっており、周辺は京都を代表する一大観光名所となっています。
実は、特別名勝に指定されているあの広大な「天橋立」は、太古の昔、もともとはこの籠神社の境内にあり、神様へと続く「参道」だったといわれているのです。
現在の籠神社の境内は決して広大というわけではなく、10分〜15分もあればぐるりと回れる落ち着いた広さ。
そのため、「天橋立すべてが参道だった」と言われても、そのあまりのスケールの大きさに、にわかには想像が追いつきませんよね。
この記事では、元伊勢と言われる籠神社に付いて、また籠神社への行き方や駐車場などについても紹介しています。
元伊勢籠神社の行き方・アクセス・所要時間など
元伊勢籠神社へ観光に行く際に役立つ、詳しいアクセス方法と参拝に必要な所要時間をまとめました。
元伊勢籠神社への行き方(アクセス)
■ 電車・バス・観光船でのアクセス(おすすめルート)
京都駅や大阪方面から行く場合、まずは京都丹後鉄道の「天橋立駅」を目指します。天橋立駅からは、以下の2つのルートで神社へ向かうことができます。
- ① 観光船を利用する場合(おすすめ!):「天橋立桟橋」から天橋立観光船に乗船し、対岸の「一の宮桟橋」まで約12分。下船後、徒歩約5分で籠神社に到着します。天橋立の景色を海から眺められる人気のルートです。
- ② 路線バスを利用する場合:天橋立駅から丹海バス(路線バス)に乗り込み、「元伊勢籠神社能前」バス停で下車してすぐです(所要時間:約25分)。
■ 車でのアクセスと駐車場
- 京都縦貫自動車道「与謝天橋立IC」を下りて、国道178号線経由で約10分。
- 神社には有料の参拝者専用駐車場(普通車約100台)が完備されているため、マイカーやレンタカーでも安心して訪問できます。
参拝に必要な所要時間の目安
- 元伊勢籠神社のみの参拝:約20分〜30分(境内はコンパクトなため、さっと回るだけなら20分ほどですが、重要文化財の狛犬や本殿の建築美をじっくり見るなら30分あると安心です)。
- 奥宮「真名井神社」への参拝も含める場合:約1時間〜1時間半(籠神社から奥宮までは徒歩で約10分ほど離れているため、往復の移動と参拝を合わせるとこれくらいの所要時間になります)。
| 元伊勢籠神社(このじんじゃ)の詳細情報 | |
|---|---|
| 住所 | 京都府宮津市字大垣430 |
| 電話番号 | 0772-27-0006 |
| 拝観料 | 無料(境内自由) |
| 駐車場 | あり(有料:普通車 約100台完備) |
| 参拝時間 | 2月~11月 午前8時00分~午後5時00分 12月~1月 午前8時00分~午後4時30分(※お守り授与は8:30(御朱印は9:00)~閉門) |
| 定休日 | 年中無休 |
| ホームページ | 籠神社公式HP |
伊勢神宮の神様が「最初にお引っ越し」をした伝説の地

丹後国の一の宮という最高の社格を誇る籠神社ですが、その歴史は想像を絶するほど古く、神話の時代までさかのぼります。
一説によると、伊勢神宮の最高神である「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」は、もともとは大和国(現在の奈良県)の笠縫邑(かさぬいむら)でお祀りされていたそうです。
そこから最初にお引っ越し(遷宮)をして、次に祀られた場所こそが、ここ【丹後国の宮津】だったといわれています。
なぜ神様たちがわざわざこの地を選んで遷宮を行ったのか、その明確な理由は謎に包まれていますが、天照大御神が初めて生まれ故郷の奈良を離れ、旅の果てに降り立った聖地がここ宮津だったというわけです。まさに歴史的な「最初のお引っ越し先」ですね。
ただ、最初から今ある籠神社の場所にお祀りされたわけではなく、最初は籠神社の奥宮にあたる「真名井(まない)神社」に神様が鎮座されたと記録されています。
この真名井神社は、知る人ぞ知る最強のパワースポットとして非常に有名で、霊感のまったくない私ですら、一歩足を踏み入れた瞬間に空気がガラリと変わる不思議な感覚を覚えた場所。
その真名井神社の神秘的なレポートは、また次回の記事でじっくりお届けしたいと思います( ☆∀☆)
歴史が息づく境内へ!「元伊勢籠神社」の見どころ巡り
それでは、さっそく神聖な境内へと入ってみましょう!

石造りの一の鳥居をくぐると、すぐ目の前に堂々とした木造りの「二の鳥居」が現れます。その向こうにうっすらと見えているのが重厚な神門です。

参道を進むと、籠神社の由緒が書かれた説明板がありました。
御本殿に祀られている主祭神は、彦火明命(ひこほあかりのみこと)。
そして相殿(主祭神と一緒に祀られている神様)には、以下のそうそうたる神々が名を連ねています。
・天照大神(あまてらすおおかみ)
・豊受大神(とようけおおかみ)
・天水分神(あめのみくまりのかみ)
・海神(わたつみのかみ)

神門の前には、時代の変遷を感じさせる様々な形の石燈籠がずらりと並んでいて風情たっぷり。

燈籠の奥、神門の手前に鎮座する狛犬に目をやると……ん? 狛犬の頭上に立派な屋根が付いています。
剣豪・岩見重太郎が斬りつけた!?夜な夜な動き出す「魔の狛犬伝説」

なんと、こちらは国指定の重要文化財に登録されている由緒正しき狛犬様でした!
それにしても、屋根に守られている狛犬なんて全国的にもかなり珍しいですよね(*^^*)
じつは、この対になっている狛犬さんには、ちょっとゾクッとする面白い伝説が残されているんです。


狛犬の足元をよーく見てみると、手首(前足)のあたりに、くっきりと修復されたような跡があるのが分かりますでしょうか?
これ、実は昔の「刀傷の跡」なのだそうです。
この狛犬は鎌倉時代に作られたものなのですが、あまりにも造形が見事だったため、なんと魂が宿ってしまったのだとか。
魂を得た狛犬は、夜になると神社を抜け出して近くの天橋立へと繰り出し、夜道を歩く村人たちを驚かせては恐怖に陥れていたそうです。
事態を重く見た当時の人々は、有名な剣豪である【岩見重太郎(いわみじゅうたろう)】に退治を依頼。岩見重太郎は待ち伏せし、暗闇から襲いかかってきた狛犬の前足を一閃、見事に斬りつけました。
それ以来、狛犬が夜な夜な暴れ回ることはなくなった……という、なんともロマンあふれるお話です。

狛犬の前には、その歴史的なエピソードを詳しく記した説明板も設置されています。訪れた際はぜひ間近で刀傷を探してみてくださいね。
日本で二社だけ!最高格の証「五色の座玉」が輝く本殿へ

それでは、高貴な「十六弁菊花紋」が描かれた横断幕が掲げられた神門をくぐり、いよいよ拝殿の前へと進みます。


目の前に現れた籠神社の御拝殿。美しく苔むした茅葺き屋根が、長い歴史の重みを感じさせてくれて本当に素敵です(*^^*)

角度を変えて斜め横から眺めてみると、その建築の美しさがよりいっそう際立ちます。

こちらの御本殿は、三重県の伊勢神宮御正殿とほぼ同じ構造で作られており、日本古来の建築様式である「神明造(しんめいづくり)」で建てられています。
本来、伊勢神宮の建物の呼び名である「唯一神明造」という言葉がありますが、伊勢神宮以外でこの究極の様式をそのまま受け継ぐことが許されているのは、全国広しといえどもこの籠神社だけなのだそう。
さらに、伊勢神宮と籠神社の二社だけにしか設置が許されていない、究極の格式を示すシンボルが本殿にあります。
それがこちら

本殿の正面にある高欄(手すり)に、カラフルな丸い玉が並んでいるのが見えるでしょうか?
これは「五色の座玉(ごしきのすえたま)」と呼ばれるもので、神社としての格式が最高峰であることを証明する非常に貴重なもの。これが見られるのは、地球上で伊勢神宮の御正殿と、ここ籠神社だけなんです!
本家・伊勢神宮の御正殿前は一切のカメラ撮影が禁止されているため、こうして高貴な建築様式や五色の座玉を写真に収めることができる籠神社は、歴史好きやカメラ好きにとって信じられないほど価値のある場所だといえます。
ちなみに座玉は「青(緑)・黄・赤・白・黒」の五種類あるそうなのですが、私の見方が未熟だったのか、現地では赤・黄・緑の三種類しかはっきりと確認できませんでした。これから行かれる方はぜひ五色すべてを探してみてください!
ジブリの世界!?境内に潜む「不思議な神木」と「さざれ石」

拝殿の近くにどっしりと佇む立派な御神木。
よく見ると、なんと太い幹の途中から別の瑞々しい草が生い茂っています!生命の神秘というか、なんだか映画『もののけ姫』の世界にそのまま出てきそうな、圧倒的なスピリチュアルさを放つ不思議な木でした(*´∇`*)

こちらも同じく拝殿の近くにある「さざれ石」です。天然記念物にも指定されているそうで、プレートには力強い文字で【産霊岩(むすびいわ)】と記されていました。不思議なエネルギーをもらえそうです。

本殿の周辺には、様々な神様をお祀りする複数の摂社・末社が美しく並んで建てられており、一箇所でたくさんの神様にご挨拶をすることができます。

境内には、神社の長い歴史を分かりやすく解説してくれるポスターも掲示されていました。じっくり読むとさらに参拝が深く楽しめます。
終わりに
かつて天橋立そのものを自らの広大な参道として従えていた、あまりにも格式高い元伊勢籠神社。
今でこそ周辺にはのどかな住宅やお店が立ち並んでいますが、はるか太古の昔には、目の前に磯の香りが漂う美しい宮津湾が一面に広がり、そこに一筋の緑の線として伸びる天橋立が、今以上に神秘的に浮かび上がっていたに違いありません。
遠い大和国(奈良)を離れ、初めての新たな鎮座地を求めて旅をした天照大御神にとって、この息をのむほど美しい宮津の地は、まさに最初の引っ越し先にふさわしい最高のユートピアだったのではないでしょうか。
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